「さてと、明日から冬休みです、健康に気を付けて過ごしてください」と声が聞こえる
ここは高校の教室の中、今、担任教師の島原恵美奈が、ホームルームを終え、挨拶をしていた
冬休みと言っても、生徒は部活動がある
恵美奈は、部活動に興味がなく、運動もできないし文学もやる気がないので、顧問にはならなかった
生徒たちは帰り、恵美奈も家に帰った
翌日、恵美奈「さてと、今日から冬休みか、学校に行く用事もないし、買い物にでもでかけようかしら」と言って、朝食を取り、街に出かけた
街を歩いていると、恵美奈の携帯に電話が掛って来て、恵美奈「もしもし」と通話ボタンを押す
電話の相手「あ、恵美奈、私よ、恵乃花、今、暇?」
恵美奈「え、まあ、買い物に出かけたけど」
恵乃花「あ、それだったら、私の家に来てくれない、片付けをしていて、手伝って欲しいの」
恵美奈「いいけど、家だったら、お父さんとお母さんとで、出来るんじゃないの」
恵乃花「違うのよ、手伝って欲しいのは、納屋の中なの、埃がいっぱいで一人じゃ大変なの」
恵美奈「わかったわ、じゃあ今から家に行くわね」
恵美奈と恵乃花は、高校の担任と副担任だが、大学の同級生で、友達上恋人未満のような関係である
恵美奈は、アパートに住んでいるが、恵乃花は、実家でくらしていて、実家に大きな納屋があるのだ
恵美奈は、恵乃花の家に行くと、納屋に行き「恵乃花、来たわよ」
恵乃花「来たのね、はいこれを持って、いろんな物を拭いて行って欲しいの」
恵乃花は、恵美奈に雑巾を渡した
納屋にはいろいろあり、恵美奈は拭いていく
納屋の中に鏡面台があり、蜘蛛の巣が付いていたので雑巾で蜘蛛の巣を取って鏡を拭く
鏡を拭いていると、鏡に手が当たったと思ったが、手が鏡を擦り抜けているのだ
恵美奈「え、私の手が鏡を擦りぬけてる」と言い、鏡を見ていると吸い込まれてしまいそうになり
恵美奈「恵乃花、助けて」と言った、恵乃花は、恵美奈を鏡から引き離そうとしたが、二人とも吸い込まれてしまった
恵美奈「ううん、此処は」と目を覚ますと、見た事もない部屋にいた
辺りを見渡すと、下は板で、奥に障子の入口があった
囲炉裏があり、入口の横には、見たこともない台所があった
恵美奈は「此処って、時代劇で見る長屋みたい、それにしても此処は何所かしら、あ、恵乃花は」
恵乃花は、恵美奈の横で寝ていた
恵美奈は、恵乃花を起こし「恵乃花、此処が何処かわからないし、いったん外に出ましょ、外に行けば、此処が何所か教えてくれる人もいるかも知れないし」
二人は外に出た
外に行くと、人々が歩いているが、その姿は、着物を来ている人達が多く、さらに刀のような物を腰に差した丁髷男や、遊び人のような男たちもいた
恵美奈「え、此処って映画村かしら、皆着物姿だし、あ、あの着物を着ている人に聞いてみるわね」
恵美奈は、そう言うと、歩いて来た、着物の女の人に「あのう、此処は」と言った瞬間、逃げられてしまった
恵美奈「あら、逃げてしまったわ、じゃあ、別の人に」と、いろいろ声を掛けるが、皆逃げてしまう
そんな中、刀のような物を抜いた丁髷男が、遊び人のような男を斬り捨ててしまう
恵美奈と恵乃花「え」と固まってしまった
恵美奈は丁髷男の後ろにいたので、男の羽織の青白い着物の背中に「誠」と書かれていたのを見た
恵美奈「あ、まさか、新撰組」と声をだして言った
すると男は、刀を持ったまま、「貴様、見たな」と恵美奈と恵乃花に襲いかかって来た
恵美奈と恵乃花は、直ぐに逃げ出した
二人は運動はできないが、逃げ脚だけはなぜか早かった
そして、逃げている所で、小屋があったので、恵美奈たちは、小屋に隠れたのだ
男は、恵美奈と恵乃花を探し回ったが、結果諦めて何処かに行ってしまった
恵美奈「はあ、怖かった、それにしても、此処は一体何所なのかしら、私たちは、確か鏡に吸い込まれて、あの部屋に、外に出ると着物の人たち
しかも、あのおっかない新撰組のような人は、人を斬ったし、あれは本当の刀だった、まさか、私たち、でも、それなら納得がいくわ、ねえ、恵乃花」
恵乃花「何、どうしたの」
恵美奈「いい、よく聞いて、私たち幕末にタイムスリップしたのよ、今までの状況を判断して、それが納得の答えだから」
恵乃花「確かにそうかも知れないわ、で、これから如何するの、この時代の人に私たちの事を言ってみる?」
恵美奈「そうね、誰か信じてくれる人がいいけど、さっきの人みたいな人だったら、斬られちゃうかも知れない
とにかく外に出ましょ」と、外に出る
恵美奈と恵乃花は、気が付かなかったが、辺りは真っ暗であった
恵美奈「やだ、もう夜なの、一日は早いのね」と恵乃花と歩いていると、
問屋に到着する
問屋の外に、籠を一つと、数人の侍たちがいた
問屋から一人の女の子が体を縄で縛られ、手拭いで猿轡をされ、侍二人に連れ出されて外に出た
女の子は籠に押し込められる
その一部始終を、恵美奈たちが見ている事に気づき、侍の一人が「貴様たち、見たな」と刀を抜こうとした
その時だった
もう一人の侍が「おい、人が来る、その女たちも連れて来い」と言い、刀を抜いた侍は、恵美奈と恵乃花を殴って気絶させ体を縄で縛り手拭い猿轡をして
どこかへ連れて行ったのであった
果たして恵美奈たちは